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「雲を眺めるのが好き。」
「雲観察がもっと楽しめるように、雲のことをもっと知りたい。」
「専門的なことよりも、すぐに日常に生かせることを知りたい。」
こういった方に、以下の内容をご紹介していきます。
私は雲が大好きで、長年ただ眺めるだけで満足していたのですが、今回ご紹介する内容を知ったことで、新たな雲の楽しみ方を知り、以前よりもさらに雲観察が楽しくなりました。
記憶に残りやすいよう、イラストや画像、一覧なども豊富に使いながらまとめてみたので、是非何か一つでも持ち帰っていただけると嬉しいです。それではご紹介していきます。
雲ができる仕組み
雲の種類のご説明に入る前に、雲ができる仕組みを簡単にご紹介します。
雲とは、大気中に集まって空に浮かぶ水滴または氷晶(氷の粒)のことを言います。
メモ
雲とは? :大気中に集まって空に浮かぶ水滴または氷晶(氷の粒)のこと
上昇気流が発生すると、上空に昇った空気は冷え、飽和水蒸気量(1m³の空気中に含むことができる水蒸気の量)も下がります。やがて、空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量を上回ると、あふれた水蒸気は気体のまま存在し続けることができなくなり、凝結して水滴(雲粒)になります。
さらに上昇すると、水滴は氷晶になります。この氷晶に当たった光が散乱することで、白い雲の姿として私たちの目に見えるようになるのです。
図解にまとめたものがこちらです。
ちなみに雲が空に浮いていられるのは、雲粒や氷晶が非常に小さく、上昇気流で支えられているためです。雲粒が大きく成長すると、やがて雨などとして降ってきます。雲ができる基本的な仕組みがわかったところで、次に雲の種類についてご説明していきます。
基本の雲は十種類
すべての雲は、大きく10種類にわけられ、「十種雲形(じゅっしゅうんけい)」と呼ばれています。これらの10種類の雲のうち特徴的なものについては、「種/変種/副変種」としてさらに細かい分類がなされ、名前がついています。「種」は見た目の形をもとに分類したもの、「変種」は雲の厚さや並び方をもとに分類したもの、「副変種」は雲に部分的に現れる特徴と付随してできる雲をまとめたものです。
■大分類
十種雲形(じゅっしゅうんけい)
■細分類
「種」・・・・・見た目の形をもとに分類したもの
「変種」・・・・雲の厚さや並び方をもとに分類したもの
「副変種」・・・雲に部分的に現れる特徴と付随してできる雲をまとめたもの
今回は「十種雲形」を一つずつご紹介していきます。細分類はとてもたくさんあるのでここでは割愛しますが、ご興味がある方は文末に参考図書を貼っておきますので、よろしければご参照ください。それでは、以下に10種類の雲をご紹介していきます。なお、「十種雲形のご紹介」のブロックの末尾に、10種類の一覧もありますので、まずは全体像をご覧になりたい方は、先にそちらをご確認ください。
十種雲形(じゅっしゅうんけい)のご紹介
巻雲(けんうん)
十種雲形の中では最も高い場所に浮かび、刷毛ではいたような羽のような細く白い繊維状、筋状の模様が最も大きな特徴です。これは、氷晶が上空の風に流された軌跡があらわれたもの。雲は白く輝いていて陰影はありませんが、濃密雲が太陽を隠した時は、灰色の陰影ができることもあります。
タイプ:一定の高さで水平に広がる
高度:対流圏上層
形:刷毛ではいたような繊維状、糸状、毛状
色:白色
陰影:基本はなし
降水:なし
巻積雲(けんせきうん)
白く細かいさざ波のような雲片が、ぎっしりとまだら状に並ぶ薄い雲。この雲片の群れを鱗に見立てた「うろこ雲」や、イワシの大群に見立てた「いわし雲」などの別名を持っています。氷晶で出来ていて、空気がゆっくりと上昇する際に発生します。彩雲や光環が見られるほか、朝焼けや夕焼けに染まりやすい雲です。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏上層
形:細かな雲片が多数浮かぶ
色:白色
陰影:基本はなし
降水:なし
巻層雲(けんそううん)
氷晶でできたベールのような雲で、空の広い範囲に薄く広がっています。雲と空の境界がわかりにくく、雲の輪郭や模様がはっきりとしないところが特徴ですが、ときに毛状、波状などの模様がうっすらとみられることもあります。巻層雲が広がっている時は、様々な種類のハロ(太陽を中心とする光の環が見える現象のこと)が観察できる場合が多いです。低気圧や温暖前線の前面に広がる雲の一つのため、この雲が全天に広がっていると、天気が崩れることが多いです。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏上層
形:薄いベール状
色:白色
陰影:なし
降水:なし
高積雲(こうせきうん)
多数の雲片が空を埋め尽くすようにまだら状に並ぶさまを子羊の群れに見立てて「ひつじ雲」の別名で親しまれています。同じく雲片が多数並ぶ巻積雲よりも、一つひとつの塊が大きいことが特徴です。高積雲が太陽や月の周辺にある時は、彩雲や光環が出現する可能性があります。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏中層
形:小さな雲片が多数浮かぶ
色:白色~灰色
陰影:基本はっきりとした陰影
降水:なし
高層雲(こうそううん)
灰色を基調とした雲で、ときに雲底に模様が現れることもありますが、模様のコントラストが弱く、立体感がありません。厚い層状で、空全体をべったりと覆います。比較的薄い場合は、太陽や月がぼんやりと見えることから「おぼろぐも」の別名があります。なお、雲の向こうに太陽が見える場合があることは巻層雲と同じですが、高層雲ではハロはできません。高層雲は前線や気圧の谷の周辺でよく見られ、雨や雪の前兆になります。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏中層
形:空全体を均一に覆う層状
色:灰色を基調として、色ムラは少ない
陰影:あり
降水:ときにあり(弱い)
乱層雲(らんそううん)
灰色一色の単調な雲で、全天を覆います。数千mにも達する分厚い雲なので、太陽や月は完全に遮られ、昼間でも薄暗くなります。より低い低い位置に発生する層雲とつながって、高層ビルの上部や山頂をすっぽり覆ってしまうこともあります。雨を降らせる雲のひとつで、別名「あまぐも」と呼ばれ長時間雨を降らせ、気温が低い時は雪を降らせます。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:分厚く空全体を覆う層状
形:
色:暗い灰色を基調として、色ムラは少ない
陰影:あり
降水:あり(しとしと降る)
層積雲(そうせきうん)
一年を通して最も高頻度で見られる雲で、層雲と同じく、高度2,000m以下の低い空に発生します。多数の雲片が空に浮かぶのが基本的な姿ですが、雲片の大きさや厚さ、形は実にさまざまです。雲片の並び方も多様で、丸い塊状の雲がモザイク状に並ぶものや、細長い雲が何本も並ぶものなど、 いくつかのパターンがあります。別名「くもりぐも」とも呼ばれ、 曇り空の代表的な雲の一つ。全天を分厚い層積雲が隙間なく覆う空は、大変重苦しいことから、「かさばり雲」とも呼ばれています。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏下層
形:大きな雲片が複数浮かぶ
色:白色~暗い灰色。色ムラが多い。
陰影:はっきりと目立つ陰影
降水:ときにあり(弱い雨や雪)
層雲(そううん)
小さな水滴からなる湯気のような雲。層積雲と同じく、高度2,000m以下の対流圏下層に浮かぶ雲で、十種雲形の中で最も低い位置に浮かぶ雲です。山間部に発生している姿がよく見られ、山などの地表に接すると霧といわれ、弱い雨や霧雨や細氷、雪などを降らせます。ごく低温化では「霧雪(むせつ)」といって、 微細な氷晶(氷の粒)を降らせます。これがダイヤモンドダスト(細氷)で、氷晶が太陽光でキラキラ輝いたり、ハロが見られることもあります。
タイプ:一定の高さで水平に広がる「層状雲」
高度:対流圏下層
形:湯気状。形の変化が早い
色:白色~灰色
陰影:あまり目立たない
降水:ときにあり(霧雨、霧雪)
積雲(せきうん)
白い綿のような姿から、別名「わたぐも」と呼ばれています。雲は白色で、輪郭はくっきりとしており、 全体的にもくもくとした質感があり、雲底にははっきりとした陰影が見られます。晴れている日中に、単独で現れることが多い雲です。夏の強烈な日差しや上空の寒気などで強い上昇気流が発生し、発達して山のように大きくなった積雲を「雄大積雲または雄大雲」といいます。雄大雲がさらに発達したものが積乱雲で、積乱雲は激しい雷雨をもたらします。
タイプ:対流圏の下層2kmほどに雲底があり、そこから上方向に発達する「対流雲」
高度:対流圏下層~中層
形:真綿をちぎったような、輪郭がくっきりとした雲
色:白色~暗い灰色
陰影:非常にはっきりと目立つ陰影
降水:あり(驟雨(しゅうう)、驟雪(しゅうせつ))
積乱雲(せきらんうん)
積雲が発達して対流圏と成層圏の界面(高度13,000km付近)にまで到達した壁のようにそびえ立つ巨大な雲。圏界面に達した積乱雲の雲頂はかなとこ型に広がります。上部は氷晶で出来ており、雷雨や雪、雹を降らせ、竜巻などの突風や降雹(こうひょう)など、破壊力の強い現象をもたらすこともあります。 ひとつの積乱雲の寿命は約1時間で、雨を降らす範囲は十数km程度と、短時間でピンポイントに激しく振る傾向があります。
タイプ:対流圏の下層2kmほどに雲底があり、そこから上方向に発達する「対流雲」
高度:対流圏中層~上層
形:雲頂が成層圏下部に達することもあるような巨大な雲
色:白色~暗い灰色
陰影:あり
降水:あり(驟雨(しゅうう)、驟雪(しゅうせつ))
十種雲形の特徴一覧
これまでご紹介した、十種雲形の特徴一覧です。
雲が浮かんでいる高度は?
前述の中で、「対流圏」、「成層圏」などのワードがでてきましたが、ここでは大気圏のうち、雲が浮かんでいる高度についてご説明していきます。大気圏は高度ごとに、海抜0km~10kmを「対流圏」、10km~50㎞を「成層圏」、50㎞~80㎞を「中間圏」、80㎞~800㎞を「熱圏」、800㎞~1,000kmを「外気圏」の5つに区分されています。
雲には、層雲のように地面のすぐ上を漂っているような雲もあれば、積乱雲のようなそびえたつ雲など高度はさまざまですが、ほとんどの雲が「対流圏」の中で発生・消滅しています。なぜなら、上空ほど気温が低くなる対流圏と異なり、上にいくほど気温が高くなる成層圏では上昇気流が起こらず雲が発生しないからです。
大気圏の5つの区分
- 外気圏(がいきけん):800㎞~1,000km
- 熱圏(ねつけん):80㎞~800㎞
- 中間圏(ちゅうかんけん):50㎞~80㎞
- 成層圏(せいそうけん):10km~50㎞
- 対流圏(たいりゅうけん):海抜0km~10km ←雲が発生する高度
図にまとめるとこんな感じです。
ただし、「真珠母雲」という硝酸からなる雲は成層圏で発生し、日の出前や日没後の暗い時間帯に発生する青白い「夜行雲」などの例外も存在します。ですが、いずれも高緯度地方で観察される雲で、日本では見られません。私たちが日常的に見ていて、日々の天気変化に影響を与える雲である十種雲形はすべて、対流圏内で発生・消滅しています。
- 対流圏内
→日々の天気変化に影響を与える雲(十種雲形)はすべて対流圏内で発生・消滅 - それ以外の大気圏
→成層圏で発生する「真珠母雲」や、中間圏と熱圏の間の80km前後で発生する「夜行雲」などの例外も存在する
ちなみに、対流圏の高度”10km”がどれくらいかというと、東京駅を起点にして、北区や中野区、目黒区、江戸川区、葛飾区などに手が届く距離です。このようにして見ると、雲はどんなに高く感じるものでも、案外近い距離に浮かんでいることがお分かりいただけるかと思います。
引用
宇宙航空研究開発機構 広報部|宇宙環境利用ガイドブック
散歩の雲・空図鑑|新星出版社|岩槻秀明 著
きょりタン
十種雲形の高さ
さらにこちらでは対流圏にズームして、十種雲形がそれぞれどの高さに発生するのかをまとめてみました。こちらの図をご覧ください。
このようにしてみると、お気づきかと思いますが、十種雲形は雲の発生高度や形状などの特徴をもとに分けられていて、その特徴を表す漢字が名称の中に使われています。
「巻」・・・対流圏上層に浮かぶ雲
「高」・・・対流圏中層に浮かぶ雲
「積」・・・垂直方向に発達する雲
「層」・・・水平にべったり広がる雲
「乱」・・・降水をもたらす雲
テキストで整理すると、こうなります。
■一定の高さで水平に広がる「層状雲」
対流圏上層
・巻雲 ・巻積雲 ・巻層雲
対流圏中層
・高積雲 ・高層雲 ・乱層雲
対流圏下層
・層積雲 ・層雲
■対流圏の下層2kmほどに雲底があり、そこから上方向に発達する「対流雲」
・積雲 ・積乱雲
これらの漢字が示す意味を覚えておけば、雲の名前を思い出す時に役立つことと思います。
まとめ
以上で、雲の種類の説明は終わりです。雲の種類が見分けられるようになると、天気予報に役立てるだけでなく、名前をあてたり、雲の高さがわかるようになるなど、眺めているだけだった時よりも何倍も楽しい雲ライフを送ることができます。
この記事が、楽しい雲ライフの一助になれば幸いです。ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。
参考図書
雲に特化した本。全152種類もの雲や空の現象をたくさんの写真付きで解説してくれます。タイトルに”散歩”とあるように持ち運びやすいポケットサイズながら「あの雲、あの現象なんだろう?」と思った時に、これ1冊あれば大体わかりそうと思えるほど、たくさん載っています。
雲だけでなく、世界の様々な気象現象を原理からわかりやすく解説するほか、天気予報の歴史や環境問題などのトピックもふくめ、多方面から気象全般について広く教えてくれます。