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宇宙や天文への学びや興味を深めてくれる書籍を知りたい。入門書でもとっつきにくいと感じる。文系の人にとっても、読みやすいものが知りたい。
こういった方に、以下の内容をご紹介していきます。
宇宙や天文について、やさしく書かれた本はたくさん見つかりますが、文系の思考や視点からも抵抗なく読める本は、なかなか見つからないように感じます。そこで、文系かつ初学者の私に、「やっと宇宙や天文の学びを深める入り口を見つけた!」と思わせてくれた本を共有したいと思います。宇宙や天文の本ってどれもとっつきづらいなぁ。と感じている方に、少しでも参考になると嬉しいです。
星座や占いが好きな方におすすめ
『星をさがす/WAVE出版 石井ゆかり 著』
どんな内容?
星占いの記事やエッセイを執筆するライターである石井ゆかりさんが、星占いの考え方や、星座の持つ意味、天文現象の解釈の仕方などを解説しています。そして、その全体の流れを補足するように、天文雑誌『星ナビ』編集部が、恒星・惑星・衛星の違いや、月の満ち欠け、流れ星、星座などの基礎的な天文知識を添えています。
入門者におすすめのポイント
誕生日に紐づけた星座の解説や、月の満ち欠けが人間や植物に影響を及ぼすと考えた古来の人の言い伝えなど、なじみ深いお話をベースにしながら、全体の3割程度という程よい分量で天文知識が添えられているため、興味深く読んでいるうちに、基礎知識もすんなり入ってきます。
この本を読んで得られること
「誕生日の日は、生まれたときと同じ星空が見える」ことや、「星占いは人間の12種類にタイプ分けするものではなく、誕生日の日の星空に輝いていた自分の星と、その周囲にある星との関係性から人間の多様性や多面性を分析しようとするもの」であることなど、新たな発見がたくさんあり、つい周囲に披露したくなるだけでなく、今日から星空の見方が変わる新たな視点を与えてくれる本です。
宇宙を学問することの意味や価値を知りたい方におすすめ
『宇宙を生きる:世界を把握しようともがく営み (入門!ガクモン 人気大学教授の熱烈特別講義)/小学館 磯部洋明 著』
どんな内容?
太陽を専門とする宇宙物理学者である著者が、将来宇宙研究に携わりたいと望む方々に向けて、宇宙を学問することの意味や価値について考えるための様々な観点や、見解をまとめた本です。本著は、「入門!ガクモン」という、各分野の初学者に向けたシリーズの一つのため、専門分野の知識よりも、学問そのものへ焦点を当てた内容になっています。
入門者におすすめのポイント
「専門知識」よりは「学問」自体にフォーカスした本とはいっても、この学問を語る上での一例として、太陽コロナ加熱問題や太陽フレア、太陽の黒点が出現するメカニズム、宇宙天気予報などに関する解説もなされています。宇宙関連の本は難しいものや、反対にとてもわかりやすく抽象化されすぎたものが多い一方で、この本の解説は専門的な知識をベースにしつつも、全分野の初学者に易しい解説になっています。
第3章では、地球以外の天体に移住したり、生命そのものを人為的に改変するなどのテーマが現実味を帯びてくるであろう未来についても言及し、その時代に向けた宇宙学の在り方や学際的研究についても語られています。
この本を読んで得られること
個人的な感想としては、1、2章の解説がとても秀逸で、子供に向けたなんとなくの概念理解ではなく、適度に専門的で宇宙学の一部を理解できた気にさせてくれるため、天文学を学ぶことへの心理的ハードルが下がり、興味がかきたてられました。また、全体を通して、宇宙学に関する様々な観点での知識や問いを与えてくれることから、宇宙学に関する一定の輪郭が形成されたように思います。それは、今後学習を深めていくための道しるべとなってくれるだろうと感じています。
天文学を勉強したいけど、どこから手をつけていいかわからない、宇宙を学ぶとはどういうことか?というところから知りたいという方に特におすすめです。
宇宙や天文も含め、幅広く科学に触れたい方におすすめ
『科学の扉をノックする/集英社 小川洋子 著』
どんな内容?
この記事は、「宇宙・天文学の書籍」と題していますが、この書籍はもう少し広めに「科学」に焦点を当てたものです。本書には、科学の様々な分野に関わる専門家へのインタビューがまとめられています。インタビュアー・著者は、映画化された『博士の愛した数式』の原作の著者としても有名な作家の小川洋子さんです。全体構成は、題材ごとに7章に分かれており、宇宙、鉱物、DNA、大型放射光施設(Spring-8)、細胞性粘菌、遺体科学、トレーニング科学と多岐に渡ります。
インタビューは、著者が専門家のもとへ赴き、国立天文台や、鉱物科学研究所、大型放射光施設(Spring-8)、国立科学博物館分館、甲子園球場など、様々な場所で行われています。そのため、実際に研究の場として使われている現場の描写もふくめながら、様々なお話が展開されます。過去の研究で分かっていることや、私たちの生活の中でその科学がどのように使われているか、研究現場の様子、よくある素朴な疑問に対する専門家の見解、注目していることなど。
入門者におすすめのポイント
内容を一言で表すならば、「大人の社会科見学」です。小学生の時に行った工場見学を思い出していただくとイメージしやすいかなと思います。まったく知らない世界でも、「大きい!かっこいい!」などの視覚的な要素から入り、そこで働いている人のひたむきな様子や、そこで生き生きと語られる仕事の内容や、仕事への想いなどを聞いていると、いつの間にか前のめりになっていた、なんていう方も多かったのではないかなと思います。
著者の小川洋子さんは、小説家という畑違いのお仕事をされていながら、幼少期から科学の様々な分野に対して興味を持ってこられた方のようです。(この本で取材をしている7名の専門家のチョイスも著者自らがなさったそうな。)
だからこそ、著者ならではの好奇心から発せられる質問や視点が、一層、各テーマやそこで働く専門家の魅力を明らかにしてくれているように思います。
この本を読んで得られること
他の科学関連書籍と一線を画すのは、小説家ならではのイマジネーションがあることだと思います。例えば、体内のたんぱく質の製造過程を、ユーモアたっぷりの擬人化表現で描いているところは、その働きの見事さを感じ取るのにとても効果的です。
科学関連の書籍は、事実や論理を積み上げて語られる書籍が多い中で、このような小説家ならではの物語性のある眼差しを持って語られる文章を読むと、「科学ってこんな風に解釈してもいいんだな。こういう向き合い方もあるんだな」と、科学への向き合い方を教えてもらったような気がします。
まとめ
以上で、「文系の方におすすめしたい、宇宙・天文学の書籍3選」についてのご紹介でした。また、おすすめがあれば追加したいと思います。みなさんの宇宙・天文ライフの一助になれば幸いです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました!